【笑顔で話すクセ】
笑顔で話すのがクセになって取れません、疲れます。ハイ、私もそうでしたぁ〜！

笑顔で話すのがクセになって取れません、疲れます[スピリット･ボイストレーニング313]

※ スピリット･ボイスは、ネガティブなことを考えてしまいがちな目の前の意識を、「１、２、サーン」の掛け声で、自分の後ろ斜め上30センチに飛ばし、俯瞰の意識でラクに楽しく話すトレーニングをしています ※

今回のお悩みは、
私は話しているとつい自然に笑顔になってしまいます。これがクセになってしまいました。
どうすればいいでしょうか？
という内容です。

ありますね。

実は私、アナウンサーになった24歳の時、どうやって仕事をしたらいいのかわからなかったんです。私、ド素人で、何にも知らなくて、マイクどこ持つんですか？というのもわからないぐらい、何もやったことなかったんです。
そんな私が、アシスタントになって、カメラの前で、「次はなんとかなんとかのコーナーです」ってコーナー紹介をするんです。
本当に私どうすればいいかわかんなかったんです。
私、それまで幼稚園の先生とアルバイトしかしたことがなくて、会社に勤めたこともない。
男性がいっぱいいるこの職場で、私は何をすればいいのか、本当にわからなかったんです。
カメラに向かって話すということもやったことがないし、テレビで見ている人が、私をどう思っているんだろうなんて思いだしたら、きゃーってなってしまうんです。

私、中身が全然なかったから、とにかく見た目だけでも良くしようと思って、笑顔でいたんです。
笑顔で「次はなんとかかんとかのコーナーです」。
翌週も笑顔で「次はなんとかかんとかのコーナーです」。
翌週も笑顔で「次はなんとかかんとかのコーナーです」って、ずっとやっておりました。
すると友人から「スイカ口のいけもっちゃん」と呼ばれ、あだ名になりました。
そして、だんだん頬がピキピキピキピキしてきました。
人前でいる時、私はこの笑顔っていう、笑顔マスクをつけたようなイメージで、いつも人と会っていました。

そしてある日その番組に投書が来まして、何て書いてあったかというと、「アシスタント白々しい」でした。
ぎゃふん！
そうか〜笑っているだけじゃダメなんだ、っということがわかりました。
私はそこから笑うことはやめました。
頬の力を抜いて、口を縦に開けて話すことが大切なんとだわかりました。

口を横に引いて笑顔で話すと音がつぶれるんです。
口を縦にすると声が変わって、人間味のある声になります。
作った顔からは作った声が出ます。
頬の力を抜いて口を立てに開けて話すと、まろやかな人間らしい丸い声に変わります。

私が昔そうだったのでよくわかるのですが、笑顔でなきゃ人前ではいけないんじゃないかなっという気持ちになるんです。
人前にいる時には笑顔でいるっていうのが私ですという、自分で作ったルールです。
でも、それを人がどう見るのか？
その答えが、先程の投書の「アシスタント白々しい」ですね。

笑顔はとても素晴らしいと思います。
でも真顔があってからの笑顔が魅力的で、ずっと笑顔は怖いです。
目が笑ってない。
私、昔、「本当に目が笑ってないな私」って、テレビで自分を見て思ってました。

口を縦に開けて話をすると、顔に表情が生まれます。
笑顔は表情が一つしかないので、表情不足になります。
笑ってなくたって、口が縦に動くことによって、相手に私が伝わりやすくなります。
人間味のあるあなたを、伝えることができるようになります。

ということで、私いつもついつい笑顔で頬に力が入っちゃうなと思う方、口を縦に開けて話をすることを、心がけてみてください。
縦に口を開けるのは難しいんです、本当に。
鏡を見ながらやってみてください。
縦に口を動かす私の顔ってどんなのって。
笑顔が全然なくてOKです。
作った笑顔じゃなくて、真顔で、私が人間らしく話をするというところにポイントを置いてください。
そしてたまに、ヘヘッって笑う本当の笑顔がキラーンと輝くのです。
なんて笑顔のチャーミングな人なんだろう、となる訳です。

真顔からの笑顔、真剣な顔からの笑顔、ちょっと困った顔からのありがとうという笑顔、など。
喜怒哀楽、いろいろな感情がありますけれど、感情をちゃんと顔で表せるようになると、とっても魅力的だと思います。
笑ったままで「本当に悲しくて私…」と言ったら、「えっ本当に悲しいんですか？そのお顔で！」ってなっちゃいますから。

顔の力を抜くためにも、私がいつも言っている「１，２，サーン」をやってみましょう。
意識が自分の前にあると顔が緊張するので、「サーン」っと言って、意識が後ろに移動すると、顔の緊張が取れます。
そうすると、頬や口や舌も「ようやく私の自由に動いていいんですね」って、自分の役割をちゃんと果たそうと動き始めます。
あとはもうお任せです。
私どんな口の動かし方をしているのかなって、もう気にしなくて大丈夫です。
「サーン」で後ろに意識を置くと、自由に顔が動き出す。
それにお任せしていれば、とても魅力的な表情になっていると思います。

そして、実はこれ、ラクなんですね。
もう、顔どうなっていてもいいです、どう見られてもいいです、私はこういう顔なんですっていう気持ちで話をすると、とてもラクなのです。
このラクさもぜひ味わっていただきたいです。
なんだこんなにラクで良かったんですか！
わざわざ、人前というのはこうしなきゃいけないと思って笑っていたんだけど、やらなくていいんですか　！
そう！そこまで気が付いたあなた！
ぜひ、このラクな話し方を味わってみてください！！